島根県教組は2022年10月15日、松江市の県民館を会場に第71次教育研究島根県集会を開催し、教職員・保護者・地域の方含め、のべ177人(会場159人、オンライン18人)が参加しました。
本年度は、すべての分科会と特設分科会の助言者配置を行うことができました。
各分科会で的確な指摘をいただき、レポート分析・実践交流が深まりました。
第1分科会 授業づくり
助言者:江利川春雄さん(和歌山大学名誉教授)
<討議の柱>
1 学力とは何か、学ぶとはどういうことかという根源的な問いも含め、子どもたちの学びをどのように保障したら良いか。
2 人材育成のための教育ではなく、主権者育成のための教育をどのように実現したらいいか。
3 学力テストや学力向上対策が叫ばれる中、それを乗り越える実践をどのように実現したらいいか。
【レポート】
「夏季研修会のリベンジ(版画の題材例や彫り方の紹介など)」小学校
「ジグソー法を用いた英語の協調学習授業」高等学校・英語科
「高校1年生のゆるやかな学びあい」高等学校・水産科
第2分科会 授業づくり
助言者:福岡篤紀さん(元全教広島執行委員長、元中学校教員)
<討議の柱>
1 子どもたちが見せる様々な姿や、学級づくりで工夫したり悩んだりしたことを交流しましょう。
2 子どもたちの日常を知り、子どもたちの言動から子どもの心や要求をつかみ、指導に生かしていけるポイントを探っていきましょう。
3 互いのちょっとした”工夫”や”とりくみ”を交換し、子どもたちの自立自治を促したり、私たちの力量を高めたりしていける何かをつかめる時間にしましょう。
【レポート】
「日々の悩みのタネ」
「子どもを真ん中にした学級づくり」
第3分科会 特別支援教育
助言者:野津 保さん(元隠岐養護学校教員)
<討議の柱>
1 子どもたちや保護者、教職員との関係づくりや集団づくりなどで悩んだり工夫したりしていることを交流しましょう。
2 交流する中で、自分の経験やアイデアを出し合い、明日からのヒントを見つけましょう。
3 県下の特別支援教育をめぐる現状を共通理解し、課題を明確にしましょう。
【レポート】
「日々の悩みのタネ」
「子どもを真ん中にした学級づくり」
第4分科会 子どものからだと心
助言者:宍倉 翠さん(元県教組組合員)
<討議の柱>
1 コロナ禍の子どもたちのからだ・心・生活の実態について話し合いましょう。
2 性について語り合い、学び合うことのできる学校にするための取組について話し合いましょう。
3 子どもたちの実態から出た課題に対し、解決に向けた取組を学校・地域全体で行うために、教職員・保護者・地域の人々とどうつながっていくのか、学び合いましょう。
【内容】
・児童生徒の健康実態
・保健室で困っていること
・子どもたちのマスク着用による体や心への影響
第5分科会 教育条件確立の運動
助言者:関 耕平さん(島根大学教授)
<討議の柱>
1 経済的な格差無く、子どもが安心して平等に生活できているか。
2 「子どもの権利条約」を学び、その視点を生かして、子どもの人権が守られているか。同時に、大人の人権も守られているか。
3 憲法の理念、「教育は無償」は守られているか。
4 学校のお金(給食・教材・学校指定品・部活など)について、自由に話ができる民主的な職場であるか。また、必要な教育予算を、市町村に要求できているか。
5 国や地方の施策は、子どもや大人の幸せ支援につながる制度となっているか。
【レポート】
「『GIGAスクール構想』に伴う調査Part 2」
「子ども達の未来を保障するために(教職員一緒に語る学校のお金のこと)」
「女性部アンケートについて報告」
第6分科会 思春期・青年期の発達(成長)と支援
助言者:長田明夫さん(元県教組組合員)
<討議の柱>
1 思春期・青年期の子どもたちの生活と主権者としての意識について
2 中学・高校の進路指導・「キャリア教育」について
3 保護者・学校・地域社会の連携について
4 子どもと青年への支援について
【レポート】
「怠学!?~親の葛藤~」
特設分科会 「平和な未来を子どもたちに」
助言者:前田しほさん(島根大学准教授)
<討議の柱>
1 なぜプーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻を始めたのか。何を目指しているのか。その理由や背景について。
2 どうしたらこの軍事侵攻を終わらせることができるのか。その可能性について。
3 子どもたちに平和な未来を手渡すために私たちに何ができるのか。
【レポート】
「世界の“今”を授業に!~歴史学習の最後に取り上げたウクライナ侵攻」
お笑い芸人 髭男爵 山田ルイ53世さん
講演タイトル「僕達にはキラキラする義務などない」
午後の記念講演には、教職員・保護者・地域住民ら約95名が参加しました。(オンライン参加16名)
山田ルイ53世さんは、自身のひきこもり体験を中心に、そこに至るまでの生い立ちや幼い頃の自分自身について、また、大人になってからの自分の気持ちの有り様について語られました。中学2年の夏まで、周りからの期待に応えるべく行動していたことをふりかえり、本当に自分らしく生きることの意味についてお話しされました。ワイングラスを持って現れた中学生と楽しくやりとりをして、会場が笑いに包まれる場面もありました。
【参加者の感想】
●自分自身「何か意味があるはず」と思う傾向がある。そうでない人もいてもよい。今の自分もありだなと素直に思えることもいいことと感じた。(教職員)
●「みんなちがってみんないい」のフレーズを教室に貼っている教員の多くが、協調性を強いていると感じている。山田さんの話は人の本質をついていると感じた。(教職員)
●よく子どもに「好きなことを一つ見つけよう」とか「夢を持って努力すれば叶うよ」とか言ってしまいますが、それって子どもにとって息苦しいというか、大きなお世話なのかもと思いました。(保護者)